今年度は高密度部分と星形成領域との関連を探る上で、真のコア部分を調べることが重要であるとの認識から光学的により薄いH^<13>CO^+輝線を用いたミリ波観測を行った。天候のせいで昨年度のCS観測の追加はできず、サンプル数には不満が残るが、H^<13>CO^+の観測結果は個々に見て非常に興味深い。たとえばIRAS源はBRC(Bright-Rimmed Cloud)のリム側にあるが、サイズ0.3pc程度で質量数10M_<sun>の3個のクランプが密集しているようなBRC31の例、さらにリムに垂直に伸びる星形成を伴うリッジ構造を示すBRC38などを発見することができた。またBRC14は、IRAS源の周囲を半径0.2-0.3pcで取り囲むようにH^<13>CO^+が分布しており、中心部のクラスタとの関連することが示唆される。その速度構造はBRCがcollapse phaseにあることも示している。IC1396AはIRAS源を伴わないが、密度ピークがリム側に偏っている一方、BRC内にも前主系列の中質量星が存在する。我々が今シーズン得たハワイ大学2m鏡によるJHKsの近赤外線画像からは、そのほかにもこのBRC内部に多数の前主系列星が存在することが確認されたが、その分布は密度ピークよりもBRCの中心(すなわち上述の前主系列中質量星付近)に寄っており、今までBRCに見られた例とは逆である.このことはHII領域によるRDI(Radiation-Driven Implosion)によってBRCの中心に中質量星が形成され、その星の影響によって周囲に星形成が誘起された可能性を示唆するのかもしれない。我々は最近、若い中質量星NGC2264IRS1にも同じような構造に星形成に誘起された例を報告している(Nakano et al.2003)。その後、2回の追加観測をする機会を得ることができたが、やはり悪天候のためサンブルを増加することはできなかったが、最終的に24個ものBRCsの物理量を決定することができた。 上述のIC1396A以外でも、近赤外線観測からはBRC31には原始惑星系円盤Proplydsの候補天体が検出できたことも特筆すべきことであろう。また同時期にその極めて良いシーイングを生かした、H_2と[Fell]による狭帯域撮像も昨年に引き続いて行うことができた。BRCsとの比較のために行ったいくつかの暗黒星雲中のYSOについて撮像した結果、Barnard 1暗黒星雲中に歳差運動していると思われるジェットが検出された。これは今後ジェットの形成メカニズムを調べる上で重要なサンブルになることが期待される.
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