OBアソシエーションの周囲における輝線星の大規模探査から比較的最近形成された星が多く存在することが明らかになってきている。1つの可能性として、このような若い星は分子雲の残骸から形成されたことが考えられる。HII領域に隣接した小規模分子雲であるブライトリム分子雲(以下BRCs)の研究から、BRCは活発な星形成領域であることが知られている。しかし、ボックグロピュールと比較して、このようにOB型星の影響で星形成が起こったと思われるBRCでの星形成は様々な点で違いが見られる。本研究では、まず最初にIRAS源にバイアスのかからない、十分な数のサンプルのBRCリストを作成した。若い星を検出するためのグリズム分光観測を行い、IRASを伴わないBRCにも輝線星を検出した。ミリ波分子輝線観測もBRCの物理量を決定する上で必要である。そこで、CS輝線による35個のBRCのサーベイを行った。CSの検出できたBRCに対しては、さらに光学的に薄いH^<13>C^+による観測を行い、最終的に24個のBRCの物理量を決定することができた。典型的なサイズは0.3pc程度で質量は10Msun程度であった。いくつかの興味深いBRCを見つけることもできた。3個の高密度クランプが密集しているようなBRC31、リムに垂直に伸びる星形成を伴うリッジ構造を示すBRC38などである。またBRC14は、大光度IRAS源の周囲を取り囲むようにクランプが分布しており、IRAS源との関連が示唆される。広い視野での近赤外線イメージング観測も数例行なって、南天も含めてCTTSの観測的指標である赤外超過天体の検出も目指した。関連する中質量形成領域や若い星の活動現象の研究にも時間をとられ、まだ得られたデータを有機的に結合するには至っていないが、今後の展開を目指したい。
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