研究概要 |
最近続々と太陽系外の恒星に惑星が発見されていて、この報告を書いている時点で76個の惑星がドップラー観測から発見されている。この中で複数の惑星が発見されているのは7組(νAndromedae, GJ876, HD83443, HD1683443, HD82943, HD74156, 47Uma)である。本課題ではこれらの惑星系の長期安定性を研究した。これらのうちHD83443, HD1683443, HD74156, 47Umaの惑星系は2惑星間の距離が大きく離れていて安定である。残りの3惑星系は相互距離が近く、かつ離心率が大きいので近接遭遇が起こり系が不安定となる可能性があるので、これらの惑星系についての安定性を解析的並びに数値シミュレーションによって研究し以下のような結果を得た。 1)これらの惑星系の安定性メカニズムには近点の連動と平均運動共鳴がある。 2)νAndromedaeには3個の惑星があり外側の2個の惑星間の近点が連動して両惑星の近接遭遇が避けられていて、また1番内側の惑星への他の2惑星からの摂動は小さいので惑星系は長期安定である。 3-1)GJ876の惑星系は観測から求まる最小質量の時には2:1平均運動共鳴によって安定性が保たれている。 3-2)GJ876星系の質量が大きい場合には惑星間相互作用が大きくなり2:1平均運動共鳴だけで惑星系は安定となり得ず、さらに近点の連動によって惑星系は安定化されている。 4)HD82943の惑星系は2:1平均運動共鳴状態に近いが、現在発表されている軌道要素ではこの惑星系は不安定である。
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