本年度は、主として、野辺山45メートル望遠鏡を使用した6素子アレイ受信機の有効性のチェックを行った。出口は、この受信機を実際に使用し、一酸化珪素メーザー輝線による銀河中心核円盤領域のマッピング観測を行って、銀河中心核円盤に9つの一酸化珪素メーザーを検出し、その観測有効性を検証した。また、銀河中心近傍の長周期変光星の位置データーが発表されたので、旧来の受信機を用い、それらの変光星のうち約50個を観測し、その3分の2に一酸化珪素メーザー輝線を検出した。三好は、銀河中心点源方向を更に深く探査し、いくつかのメーザー源の輝線強度が数倍にフレアアップしている事を発見した。これらのメーザー源の超長基線観測を米国国立電波天文台に提案、採択され、観測予定が決まっている。さらに、出口は、海外共同研究者P.R.Woodと協力し、オーストラリアの赤外線望遠鏡を使い、これまでに一酸化珪素メーザーの検出された天体の近赤外観測を行った。また、オーストラリアの電波望遠鏡を使用し、南天の赤外線天体163個を観測し、38個について一酸化珪素メーザー輝線を検出した。本年度、この科研費で購入した大画面液晶モニター付きのパーソナルコンピューターにより、それらのデーターの解析を行った。画像及びデーター解析ソソフトを購入し、画像データーから効率よく値を引き出し、結果を明瞭に表示することができた。大画面液晶モニターを別に購入し、データー解析の効率化を計った。出口は、オーストラリアでの近赤外線観測及び電波観測を行ったため、外国旅費を使用した。また、アルバイト学生を使い、データー整約を行わせたので、謝金を使用した。
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