研究概要 |
平成12-14年度にわたる3年間で、以下の観測を行った。1.マルチビームレシーバーによる銀河中心から20分角領域の一酸化珪素メーザーの浅い探査、2.銀河系中心核円盤部に存在する大振幅変光星およそ300個について野辺山45m望遠鏡による一酸化珪素メーザーの探査、3.銀河中心Sgr A^*およびその周囲に存在する一酸化珪素メーザー源のVLBA観測。出口は主として、1,2の観測およびその解析を遂行、三好は3の観測と遂行を行った。1,2の観測により、各円盤部の恒星のうち非常に速い視線速度を持つものが存在すること、また、回転角速度に2つの成分の存在すること、が明らかになった。また、銀河中心一酸化珪素メーザー源のモニター観測により、IRs10に付随する一酸化珪素メーザーが2002年5-12月に再度フレアーを起こしたことが判明した。このためのVLBA観測を急遽、平成15年1月に行った。データーは、現在、三好が解析中である。(2000年7月に行われた)2の観測および解析結果によれば、IRC10のSgr A^*に対する固有運動を求めることができた。この解析の付帯物として、Sgr A^*の高分解能イメージングを行うことができた。この解析結果によれば、数時間でSgr A^*の強度と放射分布の変化することが明らかになった。これは、Sgr A^*のフレアであろうと思われ、世界で初めてSgr A^*のフレアの変化の様子をとらえるという成果を上げることができた。これらの成果をハワイで行われた銀河中心の国際会議で発表した。また、わずかながら観測をやり残した大振幅変光星の一酸化珪素メーザー観測を、本年夏に行う予定である。
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