地球の形状軸方向ベクトルの空間的運動の周期成分である章動について、剛体地球の章動理論としてRDANを採用し、SOSモデルによる非剛体効果を考慮して1979年から200年までのVLBI観測データに基づいて、新しい非剛体地球の章動理論SF2001(Shirai and Fukushima 2001)を構築した。副産物として、地球の力学的扁平率など重要な地球物理パラメータを従来にない高精度で推定することができた。 惑星歳差について、DE405に代表される最新の数値天体暦から、その永年成分を高精度で抽出するため、ペリオドグラムによる周波数推定技術と、周波数をも未知数とする非線形最小2乗法を組み合わせ、内在周波数の数を0から1つずつ増やす逐次的手法を組み入れることにより、高精度の非線形調和解析法を編み出した(Harada and Fukushima 2003)。これを、DE405から得られる地球・月重心の軌道角運動量ベクトルの方向角2成分について実施し、有意な周期成分をすべて除去することにより、最終抽出物として時間の2次関数の形にまで凝縮することに成功した(Harada and Fukushima 2004)。これは、DE405が表現している現代の最新運動理論から得られた最新の惑星歳差公式(HF2004)である。 最後に、一般歳差をVLBI観測データから推定するために、SF2001章動理論を用いて観測量から周期成分を差し引き、さらにHF2004惑星歳差公式の寄与分を考慮して、一般歳差をVLBI観測データから精密に推定することに成功し、最終的に日月歳差の最新推定値を求めた(Fukushima 2003)。副産物として、平均黄道傾角の精密な推定値を得ることができた。
|