1.11Li核に対して、中性子対相関を考慮し、多重コア配位9Li+n+n模型を新たに提出した。その新たな模型を用いて、3体チャンネル結合計算を実行し、11Li核の中性子ハロー構造の問題を詳細に分析し、外殻中性子だけでなく、9Liコア内中性子の対相関が重要であることを明らかにした。その結果は、2001年京都で開催された不安定核国際会議で発表報告され、論文にもまとめられ、現在投稿中である。 2.11Li核におけるハロー構造と深く関わるs-軌道成分の問題と、10Liのs-波仮想状態の存在の問題を統一的に理解するため、Jost関数法を用いて、仮想共鳴状態および散乱問題を解き、分解反応断面積と9Liコア-中性子相互作用の性質を分析し、その結果を論文にまとめつつある。 3.11Li核のソフト・ダイポール共鳴の分析を進め、クーロン分解反応の断面積を多重コア配位9Li+n+n模型に複素スケーリングを適用して計算を行ってきた。これまでの4He+n+n3体クラスター系とは異なるダイポール遷移強度分布が得られ、その結果はH14年春物理学会で報告する予定である。 4.1中性子ハロー核11Beのダイポール遷移強度の分析をコアの変形を取りれた10Be+n模型を用いて行った。クーロン分解反応への連続状態、共鳴状態からの寄与を、拡張された完全系を用いて、分離して示すことができた。 5.仮想状態など複素座標スケーリング法では求めることができない多体系のS行列の極を調べるために、パウリ原理を考慮したJost関数法の開発を行った。チャンネル結合系についても適用可能な方法を完成させ、今後の研究にとってきわめて強力な計算法が得られた。
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