研究課題/領域番号 |
12640259
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
宗 博人 新潟大学, 理学部, 助教授 (20196992)
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研究分担者 |
中野 博章 新潟大学, 理学部, 助手 (60262424)
伊藤 克美 新潟大学, 教育人間科学部, 助教授 (50242392)
五十嵐 尤二 新潟大学, 教育人間科学部, 教授 (50151262)
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キーワード | 格子理論 / 超対称性 / マスター方程式 / 連続極限 |
研究概要 |
現在の素粒子の標準模型を超えたより微視的な知見を得るのに、格子上で超対称性を構成するのが必要と思われるが、様々な困難が存在する。もしそれに成功したとしても、現実の世界はスムーズな連続の多様体であると思われているので、格子上で定義された理論は最後には、連続極限を取らないといけない。そこで連続極限を最初から意識した格子超対称性を定義して非摂動的な効果を計算しようと試みたのが本研究課題であり、平成14年度では一定の成果を見た。それは大きく分けて次の3項目である。 (I)格子上での対称性の実現の一般論(量子マスター方程式) 格子化のように理論を正則化すると、一般には元の対称性が保てなくなる。そのとき対称性が消えたのではなく、実現の仕方が変わっただけであるとして、変形された対称性の一般論を展開した。特に、相互作用するフェルミオンの系のカイラル対称性にこうした変形された対称性が実現されていることを具体的に示した。 (II)市松模様タイプの格子ゲージ理論と厳密なフェルミオニックな対称性の存在 超対称性の前段階である厳密なフェルミオニックな対称性がナイーヴな連続極限でも生き残ることを示したのは驚きであった。このときにフェルミオンのmod2並進対称性を反映して、ゲージもこのタイプの並進対称性を実現している。それは2次元断面が市松模様をしている格子(市松模様格子)である。また、この市松模様の格子ゲージ理論の非摂動的な側面(真空構造)の解析も、強結合展開、Monte Carlo法で現在展開されている。 (III)素粒子の標準模型を超えたより微視的な理論への超対称性の応用 まだ確固とした超対称性の理論的根拠を探すのは難しい。しかし、多くのパラメーターを含む湯川結合定数への超対称性の影響を考えるのはより微視的な世界を探る一歩となる。超対称性を持ちかつスケール不変な理論の存在を仮定する模型でこの影響を計算して、現実的な湯川結合が説明可能であることを示した。
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