研究概要 |
「マッシブな解ける模型(場の理論の模型及び格子模型)の保存量や可解性を保証しているのはどういう対称性か?」という問いに答えるべく、無限次元対称性や可解格子模型などについて研究を行っている。前年度の研究で、プリンシパルグレーディングの<sl>^^^^_2からCartan部分を剥した代数であるLepowsky-WilsonのZ代数が変形Virasoro代数のある極限として得られる事、つまり、Z代数のq-変形が変形Virasoro代数で与えられるという事が分かったが、今年度はその高ランク版を考察した。 プリンシパルグレーディングの<sl>^^^^_NからCartan部分を剥した代数であるsl_N版のZ代数が変形W_N代数のある極限として得られる事を示すために、まず変形W_N代数の定義関係式の具体形を再考察する事から始めた。変形W_N代数の定義関係式の具体形は、(i, j) (1【less than or equal】i【less than or equal】j【less than or equal】N)に対してi=1, 2(jは任意)のみが、報告者達による自由場表示を用いた計算により得られていた。しかしながら自由場表示を用いる計算方法はi【greater than or equal】3(jは任意)の場合には絶望的であるため、今回は別の方法を考案した。それはフュージョンを用いる方法で、これにより全ての(i, j)に対して、定義関係式の具体形を得る事ができた。変形W_N代数はqとtという2つのパラメーターを持っているが、t=e^<-2πi/N>q^<k+N/N>と選んでq→1の極限を考えると、この定義関係式の具体形を用いる事により、変形W_N代数がsl_N版のZ代数に帰着する事を示す事ができた。つまり、パラメーター(q, t)(t=e^<-2πi/N>q^<k+N/N>を持つ変形W_N代数はsl_N版のZ代数のq変形と見倣す事ができるという訳である。但し、自由場表示した場合には、Fock空間上の演算子として成立しているのではないので(相関関数のレベル又はコホモロジーを取った既約表現空間上で成立していると思われる)、<sl>^^^^_2に比べて多少複雑な状況になっている。
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