研究概要 |
本研究は、Ginsparg-Wilson関係式にもとづく格子カイラルゲージ理論の構成と解析を主目的とする。今年度は 1.U(1)格子カイラルゲージ理論の(数値計算にも適する)具体的な構成法の開発 2.SU(2)_L×U(1)_Yカイラルゲージ理論の非摂動的な構成(定義) に関する研究を押し進めた。 昨年度、及び、今年度はじめまでの我々の研究によって、5次元格子上のdomain wall fermionを用いた、ゲージ不変なカイラルゲージ理論の構成法が明らかになった。(この結果は今年度8月にベルリンでおこなわれた第19回格子ゲージ理論国際会議(Lattice2001)で発表。Plenary Talk。Lattice 2001, August 19-24, Berlin)我々はこの結果をさらに押し進め、6次元格子理論の枠組みでゲージアノマリー相殺条件の解を構成する方法を開発した。残る課題は、解の局所性を確立することにあり、この方法が得られれば、U(1)格子カイラルゲージ理論の数値的解析を行う段階に入ることができる。 SU(2)_L×U(1)_Yカイラルゲージ理論の構成的定義に関しては、昨年度までの我々の研究によって、SU(2)_L×U(1)_Yカイラルゲージ理論における混合ゲージアノマリーの厳密な相殺が証明された。次の段階として、Weylフェルミオンの汎関数測度が大局的に矛盾なく、かつゲージ不変に構成できることの証明が必要になる。これまでに部分的な証明を与えることができたが、まだ、完成にいたっていない。
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