本研究の目的は、次世代の衝突型加速器を想定したモンテカルロシミュレーションを行い、ストレンジB中間子の稀崩壊の測定に最適な測定器のデザインを解明することにある。特に、電子陽電子衝突について、衝突点検出器の位置分解能を向上させることが、どの程度可能か、又、それにより、どのような物理を開拓出来るかを問題にした。半径1cmのビームパイプと5層のシリコンピクセル及びストリップ検出器を配置するような構成をGEANTを用いて実現した。これは、現在検討されているスーパーBファクトリーのシリコンストリップ検出器でバックグラウンドの量や放射線損傷を考慮して、許容できると思われる構成であることを確かめた。又、この構成を用いれば、現存するBファクトリ実験のシリコンストリップ検出器と比べて、分解能をほぼ半分に減らせることがわかった。この構成を用いて、いくつかのBの稀崩壊について、いわゆるcombinatoric backgroundを格段に減らせることがわかった。一方、Bsの稀崩壊については、以上の変更を加え、かつルミノシティを10倍程度に増強しても、ハドロンコライダーを用いた実験と比べて、稀崩壊の探索という観点では、大きなメリットは見出せなかった。
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