研究概要 |
ブラックホール時空上を運動する粒子の引き起こす重力場が粒子自身に与える自己力は,その発散部分を共変的に引き去った残り,いわゆるテール部分で与えられることが知られていたが,その具体的計算法が分かっていなかった.これに関して,場の粒子軌道付近での解析的性質を利用した「パワー展開正則化」と場の球面調和関数展開を利用した「モード正則化」の方法を提案した. 重力の場合には,単に発散部分を取り去るだけでなく,ゲージの自由度をどう取り扱うかの問題がある.これを避けるために,まず,ゲージ自由度のないスカラー粒子に対して「パワー展開正則化」を適用して,その有効性を確かめた.また,シュバルツシルド時空に限った場合には,モード正則化の方法が有効であり,自己力の発散部分は,場がスカラー,ベクトル,テンソルのいずれであるかに係わらず基本的に同じ構造を持つ事を示した.これによって,本来の目標である重力場の自己力の計算に向けての準備がほぼ整った.
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