研究概要 |
電子線、光子による中間子発生反応は核子共鳴の構造に対してπN反応と相補的な情報を与えるプローブとしてハドロン物理の研究に重要な役割を果たしている。最近は偏極、電子・中間子同時計測を行なったデータが得られユニタリ性を考慮し非共鳴過程を注意深く取り扱った理論的解析が要求されている。本研究では我々が中間子光発生反応研究で開発したユニタリーな反応理論を電子散乱に拡張し、核子共鳴の電磁形状因子の運動量依存性、縦波形状因子を決定する。 本年度はΔ共鳴領域におけるパイ中間子電子発生反応について1)電子、核子偏極を含む観測量によるγN→Δ形状因子、2)ユニタリ変換の方法を用い高次補正を採り入れクォーク模型とユニタリ模型との関連に関する研究を行なった。 1)我々の模型は最近のMAINZ, NIKHEF, JLABの詳細な実験データをうまく説明することが示された。γN→Δ電磁形状因子におけるE2/M1、C2/M1比は高運動量移行領域でそれぞれ、-3%, -14%という値を得た。また中間子雲の寄与は比較的小さい運動量移行領域での大きな役割を果たすことが示され核子の形状因子の研究におけるユニタリ模型による解析の重要性が示された。 2)我々のユニタリ模型と従来のカイラルBag模型の研究の関連を明らかにした。また我々の得たE2,C2の電磁形状因子はこれらの模型では説明し得ずさらなる核子共鳴の構造研究の必要性が示された。 これらの成果は国際研究集会NSTAR2001,Baryon2002における招待講演で発表される。
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