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強い相互作用の基礎理論である量子色力学(QCD)に基いて、カラーの閉じ込めをはじめとする低エネルギー領域での多様な非摂動的現象に関する独創性の高い研究を行ない、強い相互作用の第一原理計算である格子QCDを用いて、以下の研究結果を、世界に先駆けて示した。
1.最大可換(MA)ゲージのQCDにおいては、グルーオンの非対角成分が1GeV程度の大きな有効質量を獲得し、非アーベル理論の赤外アーベル化が起こる。
2.MAゲージのQCDでは、双対グルーオンが有効質量を獲得し、双対マイスナー効果が生じる。
3.従って、MAゲージのQCDは、長距離領域では、可換ゲージ理論とみなす事ができ、双対ヒッグス機構を通じて、クォークの閉じ込めが起こるという物理的描像が成立する。
4.バリオンの性質と密接に関わる、3クォーク・ポテンシャルの詳細な高精度の計算を、格子QCDを用いて実行し、それが、近距離領域での2体のクーロン・ポテンシャルと長距離領域でのY型の線形ポテンシャルの和で表わされることを示した。この事実は、核子などのバリオンにおいて、カラー電束の1次元化が、Y型の形状に沿って起こることを強く示唆する。
5.格子QCDを用いて、3クォーク系におけるグルーオン的な励起エネルギーを計算し、それが、1GeV程度という大きな値であることを示した。この事実は、バリオンの低励起状態において、グルーオン的な励起モードが現れず、単純なクォーク模型が成立する物理的な理由を与える。
6.高温での非閉じ込め相転移の際に、スカラー・グルーボールの性質が大きく変化することを示した。
7.ゼロ温度及び有限温度でのクォーク・グルーオン混合凝縮に対する計算を行ない、QCD真空中でのクォークとグルーオンの相関が極めて強いことを指摘した。
8.フレーバー1重項のバリオンが、約1.7GeVと重く、Λ(1405)と同定できないことを示した。
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