研究概要 |
B中間子の崩壊定数とバクパラメータ 本研究計画での課題はB中間子の遷移行列を精密に計算することである。 f_Bと比べバグパラメータについてはまだ不定性が大きいためにまずクェンチ近似での値を確立することが必要である。我々は重いクォークにNRQCD作用を用いた場合について4体クォーク演算子の繰り込み計算を行い、それをもとにB_<d,s>中間子のバグパラメタB_LとB_S中間子の崩壊幅の差の予言に重要なバグパラメタB_Sを求めた。(論文として発表)この結果は相対論的作k用を用いた他のグループ結果とは一致していない。従って最終的結論に至る前に両者の矛盾を解決することが重要である。これまで相対論的作用による計算において無視されてきた有限質量の効果を取り入れた繰り込み定数の計算が必要になる。そのために研究協力者である広島大大学院生の原田、FermilabのKronfeld、学振研究員の石川、山田とともに重いクォークにFermilab作用を用いた場合についてのクォークのHeavy-LightおよびHeavy-Heavy系の双一次演算子の摂動繰り込み計算を行い、結果を得た。今後お互いの計算をCross Checkし最終結果に到達する予定である。 次に最終結果に至るため、クェンチ近似によらない計算が必要である。2000年よりフレーバー数n_f=2の格子QCDシミュレーションが高エネルギー加速器研究機構(KEK)のスーパーコンピューターSR8000を用いて開始され、対応するゲージ配位のデータが300configuration生成されている。これを元にJLQCD Collaborationとして研究協力者であるKEKの学振研究員の山田らとの共同研究で重いクォークにNRQCD作用を用いた場合についてf_Bとバグパラメータについて初期的な計算を行った。これまでのところquench近似の場合と有意な差は見られない。今後、系統誤差をさらに詰めて行く必要がある。 B中間子のセミレプトニック崩壊の形状因子 JLQCD Collaborationとの共同研究でクェンチ近似でB中間子のセミレプトニック崩壊の形状因子を求めた。HQETにもとづくパラメトリゼーションをもとにした組織的な解析でπ中間子のゼロリコイル付近での形状因子を求め、微分断面積の結果を得た。現在論文を作成中である。今後、n_f=2のfull QCDシミュレーションを行い、Bファクトリーで得られる実験データと組み合わせればV_<ub>の決定ができる。
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