研究概要 |
本研究で得られた主な成果を要約する。 1.B中間子の崩壊定数を非相対論的有効作用を用いてseaクォーク効果を無視する近似(クェンチ近似)で求め以下の結果を得た。f_<B_d>=170±5±15MeV, f_<B_s>/f_<B_d>=1.12±2±1^<+3>_<-0>またバグパラメータに必要な4体相互作用の繰り込み因子を1ループ摂動近似で評価し、上と同様の方法でそれを用いてバグパラメータB_B, B_Sをクェンチ近似で計算した。結果として以下のものを得た。B_B(m_b)=0.85±0.03±0.11,B_<B_s>/B_<B_d>=1.01±0.01±0.03B_S(m_b)/R^2(m_b)=1.24±0.03±0.16今後の実験との比較からCKM行列要素|V_<td>,|V_<ts>|の決定が期待できる。 2.B中間子のセミレプトニック崩壊(B→πιν)の形状因子を非相対論的有効作用を用いてクェンチ近似で計算し、以下の結果を得た。∫^<<q^2>_<max>>_<<q^2>=18GeV^2>(dΓ)/(dq^2)=|V_<ub>|^2[1.18±0.37±0.08±0.31]psec^<-1>今後の実験との比較からCKM行列要素|V<ub>|の決定が期待できる。 3.陽子崩壊に必要なバリオン数を破る演算子のハドロン遷移行列を格子QCDを用いてクェンチ近似で計算した。結果として、遷移行列は従来クォーク模型を用いて計算していた結果の最小値よりも4〜5倍大きな値を得た。これにより従来の超対称大統一模型に対する陽子崩壊からの制限を格段に厳しくし、minimal SUSY SU(5) GUTを完全に否定した。 4.B中間子の遷移行列の更なる精度の向上のため、非等方格子を用いた重いクォークの相対論的定式化の可能性を探った。非等方格子を用いると確かに繰り込み係数の質量依存は小さくなり、相対論定式化ができる可能性があること、また実際の数値計算でも、質量スペクトルや遷移行列を数%程度の誤差で計算が可能であるという初期的結果を得た。
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