研究概要 |
本年度は、補助場の方法ついての研究を行った。背景場として、非可換ゲージ場があり、それと結合している、南部-Jona-Lasinio模型を、補助場の方法でフェルミ粒子の積分を行った後、ゲージ場の量子効果を含めて解析した。これは、2ループ効果を計算することになり、多大の労力と計算時間を経た後、ようやく結論に達することができた。結果は、ケージ場の量子効果は、カイラル対称性を破る方向に常に働き、QCDで我々の期待するところと全く矛盾はないが、問題は、背景場との関係である。フェルミオンは、磁気的背景場が無限小でも存在すると、無限小の力でも凝縮を起こして、カイラル対称性が破れることが知られているが、ゲージ場の場合はこれが逆で、磁気的背景場は、カイラル対称性を回復する方向に(つまりフェルミオンの結合定数を小さくする方向に)働いていることがわかる。結果の数値的解析は、パソコン(バイオノートブック、などで)行った。従来のパソコンを、CPUアップグレードなどで補い、(これらは消耗品で購入)また、Mathematica,PhotoShop,Canvas,などのソフトウエアを計算の解析、結果のプレゼンテーションに使うため購入した。現在、投稿準備中である。これらの成果は、8月のロシア・ドブナでの国際会議(XXIII International Colloquium on Group Theoretical Methods in Physics,Dubna,Russia)、および、12月のベトナムでの国際物理学校(VII-th Vietnam school of physics,Hanoi,Vietnam)で発表した。12月のベトナムでは研究成果の発表と共に、若い、東南アジアの理論物理を志す人たちへ向けての、経路積分法および、ゲージ場の量子論の入門的解説も行い、非常に闊達な質問がでて有意義であった。補助場研究のもう一方は、補助場についての高次オーダーのギャップ方程式への寄与を、解析することである。これは、もとのフェルミ粒子グラフでいうと2,3ループグラフの効果を取り入れることで、大変面倒な計算である。現在その計算を始めたところであり、来年度の早い時期での結果を出す予定である。若い大学院生と協力して計算は進めており、その際の、教育的なテキストとして3冊のテキストを購入した。 論文とは別に、演習書の執筆も行っており、これは3月にサイエンス社から出版される。
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