荷電粒子検出装置の開発 二次ビームによるクーロン励起に必要な荷電粒子検出装置の設計ならびに製作をおこなった。荷電粒子検出器として当初予定していたシリコン半導体検出器は採用せず、ランニングコストを抑えるために放射線損傷に強いプラスチックシンチレータを採用した。大立体角をカバーし、かつ精度の良い位置分解能を実現するために、検出器はライトガイドと薄いプラスティックの2層構造とし、背面に6台の位置感応型光電子増倍管を配置した。これはポジトロン(PET)による診断の分野で使われている位置感応型ガンマ線検出器の位置検出の原理を荷電粒子(重イオン)検出器に応用したものであり、このような検出器を2台用意することでカバーされる立体角は全空間の7割以上になる。テスト実験の結果では位置分解能として1mm程度が得られており、本クーロン励起実験における使用目的に充分な性能であることがわかった。 荷電粒子検出装置用回路の開発 上記検出装置は全体で12台の光電子増倍管で構成されるため、12系統の高圧電源が必要であり、また2台の検出器を合わせて16系統のエネルギー信号を取り扱う必要がある。この目的のために専用の12チャンネルの高圧電源と16チャンネルのリニア信号用遅延・減衰回路を設計・製作した。 ビーム開発 二次ビーム生成に必要な大強度一次ビームの引き出しテストをおこなった。この結果フッ素19ビームについては50-70pnA程の強度が得ることができた。開発中のガス標的と組み合わせたナトリウム22ビームの生成が期待できることがわかった。フッ素18ビームの生成に必要な酸素16ビームも同程度の強度であることがわかった。
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