研究概要 |
13年度の研究は次の2つの課題を中心に行なった。 1)HF+RPA線形応答関数のスキン核の励起構造の研究への応用。 崩壊線近傍の原子核では実験的に検証されているハローや厚いスキンにより、魔法数等の一体場の構造が安定線上の原子核と大きく違ってくる。このような厚いスキンが、崩壊線近傍の原子核の巨大共鳴等の励起状態への大きな影響を持うことが考えられる。この新しい励起構造を探るために,陽子・中性子の自由度をexplicitに取り入れ,かつ連続状態を取り入れた座標空間での線形応答関数を用い^<20>Cや^<60>Caのスキン原子核のしきい値付近を含む低いエネルギーおよび巨大共鳴の励起関数の構造を明らかにする計算を行った。そのなかで,殻構造の崩れによりnegative parityのcollectiveな励起モードが低いエネルギー状態として現れることを明らかにした。 2)崩壊線近傍の原子核にたいする平均場近似を超えた動力学的効果。 安定核では電磁遷移や単一粒子エネルギーに対する平均場近似や殻模型を超えた動力学的効果が重要であることがわかっている。我々は,崩壊線近傍の原子核にたいする動力学的効果を微視的理論に基ずくparticle-vibration結合模型により研究した。その結果,殻模型波動関数に対する芯偏極電荷の減少効果を指摘した。この効果は最近のB同位体の4重極モーメントの実験で確認された。またN=16の新しい魔法数に対する動力学的効果におけるPauli Blockingの重要性を指摘し,その効果が重い原子核では見られない新しい魔法数の発生の原因の1つになっていることを指摘した。
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