研究概要 |
14年度の研究は次の3つの課題を中心に行なった。 1)RPA線形応答関数への対相関の効果の導入。 従来のRPA線形応答関数の応用は、球形核の主に閉核構造を持つ原子核に限定され、対相関が重要になる非閉核構造を持つ原子核、特に低いエネルギーの集団運動状態へは応用が難しく、定量的な議論が制限されていた。我々は、対相関に対するBCS理論を採用し、quasi-particleとしての相関を扇形応答関数を取り入れ集団励起を研究した。そのなかで,negative parity状態に対する対相関効果の違いを指摘した。 2)RPA線形応答関数の変形核でのプログラム開発とその応用。 現在までに、RPA線形応答関数は球形核でのみ開発され、変形核でのプログラム開発とその応用はまだ行われていない。その物理的理由は変形核での連続状態の取扱いが確立していないためである。我々は、この困難をFeshbach理論を応用し、P-spaceでは力学的エネルギーのみを取り扱い、Q-spaceで一体場の変形の自由度と2体の相互作用の効果を同時に取り入れることを考え、プログラム開発を開始した。 3)巨大共鳴のIsospin Structureと中性子スキン。 連続状態を取り入れた座標空間での線形応答関数を用い^<20>Cや^<60>Caのスキン原子核と、^<12>Cや^<40>Caの安定核の巨大共鳴のIsospin Structureの違いを研究し、中性子スキンと連続状態の効果を検討した。
|