研究概要 |
本研究では、Hartree-Fock (HF)およびRandom Phase Approximation (RPA)等の平均場近似模型の不安定原子核への応用を主に研究した。平均場近似の特徴は、質量数が40以上の中重核の巨大共鳴や回転運動等の集団運動の記述にある。例えば,連続状態を含めた不安定原子核の構造や励起状態に対する対相関の多体相関としての役割の新しい側面、陽子と中性子の一体場の非対称性や殻構造の変化がFermi型やGamow-Teller型の巨大共鳴やβ崩壊にどのような影響を持つか等の問題である。また、中性子崩壊線近傍の原子核の陽子、中性子の変形がこれらの原子核の平均場の特徴である小さな分離エネルギーの効果や芯とvalence軌道波動関数のdecoupling効果と結び付くことにより定性的に新しい運動を引き起こすことの可能性の追求や、しきい値付近の励起状態や低励起多重極状態の性質にどのような変化を与えるかという点にも注目してきた。本研究での中心課題を項目別にあげると、 1)崩壊線近傍の原子核にたいするSkyrme型有効相互作用の開発 2)HF+RPA線形応答関数のスキン核の励起構造の研究への応用。 3)崩壊線近傍の原子核にたいする平均場近似を超えた動力学的効果。 4)巨大共鳴のアイソスピン依存性と芯偏極効果。 5)RPA線形応答関数への対相関の効果の導入。 6)中性子スキン、非対称核物質の状態方程式及び対称エネルギーの関係。 について研究を行い成果を上げた。
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