研究概要 |
原子核のクラスター構造については、^<16>O,^<20>Ne,^<40>Ca,^<44>Tiなどの典型的な核においてきれいな回転バンドが存在し、αクラスター描像が確立している。一方、重いクラスターの存在についてはα+αの類似系である^<16>O+^<16>0において^<16>Oクラスターの存在が期待され実験的・理論的に多くの研究がなされてきた。しかし、^<16>O+^<16>Oクラスター構造が本当に存在するのか、するとすればどんなバンド構造をとるのかは多くの微視的模型・現象論的模型研究にもかかわらず解けなくて30年以上にわたる難問として未解決のまま残されてきた。 我々は虹散乱の統一的理解をめざす研究を通じて^<16>O+^<16>O散乱を広いエネルギー範囲にわたって説明することに成功した。これらの研究から^<32>Sの^<16>O+^<16>Oクラスター構造について束縛状態をふくめ次の新たな結論を得,長年の難問に決着をつける事ができた。 (1)^<32>Sには3個の^<16>O+^<16>Oクラスターバンドが存在する。N=24の一番低いバンドは非制限Hartree-Fock計算で出てくる超変形状態に対応する。超変形はクラスター構造にもとづくものであるある事が明らかになった。 (2)N=26の相対運動の励起した状態が存在し、実験的には見つかってないので探索する事。 (3)従来、多くの^<16>O+^<16>O散乱あるいは反応で見つかっている分子共鳴はN=28のバンドに属するものである。実際、各スピンの重心をとるとこのバンド上によくのる。これらがたくさん見つかっているのはfragmentしたものであると考えられる。 長年の難問に理論的に解決する方向が示され、重いクラスター研究の新たな地平が開かれた。また、超変形とクラスター構造を結び付ける新たな研究方向がきり開かれた。詳しくは次の論文を参照。 S.Ohkubo and K. Yamashita, Physical. Review. C66, 021301(R) (2002).
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