研究概要 |
ニュートリノ振動実験はニュートリノ質量の大問題に迫れる現在唯一の方法で、それらの実験の要であるニュートリノフラックスを高精度に測定する技術の開発は、今日のニュートリノ物理学にとって緊急の課題である。そこで、従来の方法とは質的にまったく異なる原理による検出器として、原子核乾板と金属板をサンドイッチ構造にした小型のECC(Emulsion Cloud Chamber)を製作し、ニュートリノフラックスを実測するための技術開発を行うのが、本研究の目的である。 今年度行った事およびその成果は以下の通りである。 1.本補助金で購入した原子核乳剤を、3種類のプラスティックベース(厚さ:0.5mm,0.2mm,0.04mm)の両面に塗布し、原子核乾板を製作した。これを鉛板やスペーサーと共にラミネート紙で包んで真空パックし、小型のコンパクトECCを製作した。 2.ビーム照射した原子核乾板の現像処理を行った。 3.原子核乾板の高速測定のために超高速自動飛跡選別装置(Ultra Track Selector)を東邦大学基礎物理学教室に導入、設置し、立ち上げに成功した。1cm^2内のビーム軸からの角度(θ)が0.4rad以内のすべての粒子飛跡を約2時間程度で測定できることがわかった。 4.電子の識別効率、エネルギー測定精度の検討、および多重電磁散乱による運動量評価の精度検討を行うためのシミュレーションプログラムGeant4を導入し、立ち上げることができた。
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