研究課題/領域番号 |
12640310
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研究機関 | 甲南大学 |
研究代表者 |
市田 正夫 甲南大学, 理工学部, 講師 (30260590)
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研究分担者 |
濱中 泰 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 助手 (20280703)
中村 新男 名古屋大学, 理工科学総合研究センター, 教授 (50159068)
安藤 弘明 甲南大学, 理工学部, 教授 (50330402)
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キーワード | カーボンナノチューブ / 一次元励起子 / 光学異方性 / 緩和ダイナミクス |
研究概要 |
本年度は、種々の平均直径をもつ単層カーボンナノチューブの薄膜試料の光学吸収スペクトルを測定し、単層カーボンナノチューブにおけるクーロン効果の直径依存性を調べた。また、ポリマー中に配向させた単層カーボンナノチューブ試料を作製し、光学スペクトルの異方性を調べた。主な結果は以下のとおりである。 1.三重大学斎藤弥八教授、東京都立大阿知波洋次教授らのグループにより合成された、種々の平均直径を持つ単層カーボンナノチューブを用いて、薄膜試料を作成して、その吸収スペクトルを測定した。半導体的なバンド構造を持つナノチューブによる基礎吸収帯は、クーロン効果により、単純なバンド計算に比べて高エネルギー側に現れることを、我々はこれまでの研究で明らかにしているが、チューブの直径が小さいほど、この高エネルギーシフトが大きくなることがわかった。このことは、直径の小さなチューブほど、一次元性が高いことを示している。 2.高分子ポリマー(ポリスチレン)中に、単層カーボンナノチューブを分散させ、ポリマーごと伸張させることにより、配向したナノチューブ試料を作製した。偏光吸収スペクトルでは、伸長軸と光の電場が平行のときにはナノチューブによる吸収帯が現れるが、垂直の場合にはその遷移は押さえられることが分かった。これは、理論的な予測と一致している。 3.フェムト秒パルスレーザー光を用いて、過渡吸収分光を行い、ナノチューブの一次元バンド中に光励起されたキャリアーの緩和ダイナミクスを調べた。半導体チューブでは、約10psと1ps以下の緩和時間をもつ2成分の緩和挙動を示した。このうち、速い成分はチューブ直径に依存して変化し、小さな直径を持つチューブほど、速い緩和を示した。この系では発光は観測されないので、観測された緩和は主に無輻射過程によるものであると考えられる。この無輻射過程がマルチフォノン放出過程であるならば、実験結果は、電子-格子相互作用が直径に依存していることを示唆している。
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