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2001 年度 実績報告書

走査トンネル顕微鏡による高温超伝導体のアンドレーエフ反射と擬ギャップの研究

研究課題

研究課題/領域番号 12640327
研究機関北海道大学

研究代表者

小田 研  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (70204211)

研究分担者 桃野 直樹  北海道大学, 大学院・理学研究科, 助手 (00261280)
伊土 政幸  北海道大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90111145)
キーワード銅酸化物高温超伝導体 / トンネル分光 / アンドレーエフ反射 / 超伝導転移 / 擬ギャップ
研究概要

本研究では、高温超伝導体の超伝導転移に関与する特性エネルギー、すなわち、コヒーレントな運動状態にある電子対形成に起因するエネルギー・ギャップΔ_<eff>を明らかにするため、このエネルギー・ギャップを反映すると考えられているアンドレーエフ反射の実験(アンドレーエフ・ギャップの測定)をLa214とBi2212で走査トンネル顕微鏡STMを用いて行った。得られた結果を以下に記す。
1)La214とBi2212においてd波超伝導体のアンドレーエフ反射に特徴的な束縛状態(アンドレーエフ束縛状態)が観測され、その温度変化が詳しく調べられた。この実験により、アンドレーエフ束縛状態は超伝導揺らぎ(電子対コヒーレンス)が急速に発達し始めるT_cより2割程度高温から出現することが明らかとなり、アンドレーエフ反射に見られる"アンドレーエフ・ギャップ"はコヒーレントな運動状態にある電子対の形成に起因するエネルギー・ギャップΔ_<eff>を反映することが示された。
2)また、La214のアンドレーエフ・ギャップ、すなわち、コヒーレントな運動状態にある電子対の形成に起因するエネルギー・ギャップΔ_<eff>が、電子のエネルギー・スペクトルにおけるギャップΔ_0より3〜4割程度小さく、BCS平均場理論でT_cから期待される値とほぼ同程度であることが分かった。
高温超伝導体では、Δ_0が擬ギャップの開き始める温度T^*からBCS平均場理論で期待される値にほぼ一致することが知られている。以上の結果1)と2)から、本研究では、T^*とT_cに関係する2種類のエネルギー・ギャップ(Δ_0とΔ_<eff>)が存在するという、高温超伝導体の大きな特徴が明らかになった。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] T. Matsuzaki: "Superocnducting gap and pseudogap behavior in high-Tc cuprates"J. Phys. and Chem. Solids. 62. 29-33 (2001)

  • [文献書誌] R. M. Dipasupil: "Psueodgap in the tunneling spectra of slightly overdoped Bi2212"Physica C. 364. 604-607 (2001)

  • [文献書誌] T. Nagata: "Pseudogap and superconductivity in La_<2-x>Sr_xCuO_4"Physica C. 364. 430-433 (2001)

  • [文献書誌] H.-S. Chang: "Observation of Andreev reflection in the c-axis transport of Bi2212 single crystals near T_c and search for the preformed-pair state"Phys. Rev. B. 13. 6413-6417 (2001)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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