研究課題/領域番号 |
12640331
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
小林 寿夫 東北大学, 大学院・理学研究科, 助手 (40250675)
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研究分担者 |
毛利 信男 東京大学, 物性研究所, 教授 (40000848)
上村 孝 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (30005813)
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キーワード | 高圧力 / 硫化鉄 / 絶縁体-金属転移 / 格子振動 / 電子相関 |
研究概要 |
硫化鉄(FeS)の電気伝導と結晶構造の関係を調べるために、高圧力下(8GPaまでの)電気伝導の温度依存性(4.2Kまで)および低温高圧力下X線回折の測定を行った。その圧力下電気伝導測定の結果、加圧とともにFeSは半導体-金属-半導体と転移していくことが分かった。低圧力下半導体相では、その電子相間によるエネルギー・ギャップが体積減少(加圧)とともに減少することが抵抗の温度及び圧力依存性の解析から導かれた。一方、高圧力下半導体相ではエネルギー・ギャップが体積減少(加圧)とともに増加していくことが分かった。高圧力下メスバウアー・吸収スペクトルの解析結果から、この相ではFeは2価の低スピン状態であるので、非結合・反結合バンド間にエネルギー・ギャップが形成されている。すなわち系はバンド絶縁体へと転移した事になる。また中間圧力下金属相では低温での電気伝導が温度の二乗で変化しその係数も大きなことから電子相間の強い金属相であると推測される。 低温(17K)・高圧力下X線回折測定の結果から基底状態での半導体-金属転移は結晶構造の変化を伴わずまた、体積変化も0.15%以下と見積もられ非常に弱い1次ないしは連続転移と考えられる。一方、室温での放射光を用いた非弾性^<57>Fe核共鳴散乱の測定結果及びその解析から、構造相転移にともなう格子振動状態密度の大きな変化を観測した。特に室温での構造相転移をともなう半導体-金属転移近傍半導体相での格子振動のソフト化に寄ると考えられる格子振動状態密度の変化を始めて観測した。
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