研究課題/領域番号 |
12640332
|
研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
加藤 雅恒 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50211850)
|
研究分担者 |
小池 洋二 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70134038)
|
キーワード | ペロブスカイト / ビスマス酸化物 / 電荷秩序 / 超伝導 / 結晶構造 / 粉末X線回折 / 磁化率 |
研究概要 |
BaBiO_3はペロブスカイト構造をとり、Bi-Oの三次元的ネットワークを有する。その結晶系は、Ba-O面よりBi-O面が大きいというミスマッチのため、BiO_6八面体が回転した単斜晶である。また、Bi^<3+>とBi^<5+>が交互に並んでCDWを形成する絶縁体である。Ba^<2+>をK^+で置換してホールドープしたBa_<1-x>K_xBiO_3では、xの増加とともに、Biの平均価数は増加し、Bi-O面が縮まるためにミスマッチは緩和され、10Kではx>0.35で立方晶になる。また、xの増加とともに、CDWは抑制され、0.37≦x≦0.5で超伝導(T_c^<max>〜30K)が出現する。すなわち、立方晶で超伝導は出現することが知られている。そこで、K^+よりイオン半径の大きいRb^+で置換したBa_<1-x>Rb_xBiO_3に注目した。この系では、Ba_<1-x>K_xBiO_3の場合より低ドープ量でミスマッチが緩和されるため、立方晶の領域が低ドープ量側に広がることが期待される。そして、超伝導出現領域も低ドープ量側へ広がりTcの上昇も期待される。 試料は、Ba_<1-x>K_xBiO_3の場合と同様に、窒素中で焼成後、酸素アニールを行った。10Kではx≧0.35で、立方晶をとり、0.25≦xで超伝導(T_c^<max>〜25K)が出現した。Ba_<1-x>K_xBiO_3の場合より若干低ドープ量から、立方晶になり、また、超伝導も出現した。斜方晶領域でも超伝導は出現したが、Tcは低く、超伝導体積分率もかなり小さかった。この系でも、超伝導出現には立方晶が望ましいことが明らかになった。また、Ba_<1-x>K_xBiO_3の場合と比べて、Tcが低下したのは、格子定数が大きくなったためと考えられる。したがって、ペロブスカイト型Bi酸化物における超伝導出現には、結晶の対称性がよく、格子定数が小さいことが好ましいことがわかった。これは、Biの6s軌道とOの2p軌道の重なりが大きくなると、トランスファーエネルギーが大きくなり、Bi^<3+>とBi^<5+>になって局在しているよりも、Bi^<4+>となって伝導したほうがエネルギーの得が大きいからであると考えられる。
|