三次元ペロブスカイト構造BaBiO_3系で高いTcを出すには、BaBiO_3に高圧をかけることである。高圧下で、単斜晶から立方晶に変化すれば、Bi^<3+>とBi^<5+>の電荷秩序が抑えられ、6s軌道はhalf filledになり、Ba_<0.6>K_<0.4>BiO_3の場合より状態密度が高くなり、Tcは30Kから上昇する可能性がある。そこで、Ba_<1-x>K_xBiO_3に対して高圧下での電気抵抗を測定した。試料は、多結晶BaBiO_3、単結品Ba_<1-x>K_xBiO_3(x=0.2)を用いた。8GPaまでの高圧下で電気抵抗を測定したが、いずれの試料でもいくらかの電気抵抗率の減少は見られたが、超伝導転移は観測できなかった。その原因として、BaBiO_3において、Ba-Oの圧縮率がBi-Oのそれより大きいため、高圧をかけることによって、BiO_6八面体の歪みは増長し、立方晶にならないためであると思われる。単結晶Ba_<1-x>K_xBiO_3において、試料形状を制御することにより異方的加圧を行えば、超伝導化する可能性がある。 また、BaBiO_3系にはホールドープ゜型超伝導体しか発見されていない。そこで、電子ドープ型の超伝導体を探索するため、BaBiO_3において、Ba^<2+>の一部をBi^<3+>で置換したBa^<2+>_<0.6>Bi^<3+>_<0.4>BiO_3の作成を試みた。まず窒素中で焼成することにより、酸素欠損を起こさせ、Biを Baサイトに置換させた。その後、イオンの移動が起こらない低温で酸素アニールを行い、酸素欠損を補充した。X線回折、及び、ICP組成分析の結果、BaサイトにBiが置換されていることがわかった。電気抵抗率測定より、依然として半導体であった。Ba_<1-x>K_xBiO_3では立方晶で超伝導を示していたが、この試料は凝立方晶にもかかわらず超伝導転移を示さなかった。その理由の一つは、酸素欠損のためであろう。もう一つの理由として、BiO_6八面体の傾きのため、short rangeでのBi^<3+>-Bi^<5+>の電荷秩序は依然として存在し、超伝導の発現を抑制していると思われる。
|