研究課題/領域番号 |
12640333
|
研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
左近 拓男 秋田大学, 工学資源学部, 助教授 (80271964)
|
研究分担者 |
上柿 英二 秋田大学, 工学資源学部, 教授 (10113888)
佐藤 憲昭 名古屋大学, 大学院・理学研究所, 助教授 (30170773)
本河 光博 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (30028188)
|
キーワード | 磁化 / 重い電子系 / 超低温 / 希釈冷凍機 / 20テスラ超電磁石 / 強磁場 / f電子系 / 磁気相図 |
研究概要 |
f電子系化合物にみられる重い電子系や、低次元量子スピン系などの強相関電子系では、特性温が1Kから数Kと極めて低く、1K程度で反強磁性などの磁気転移を示す物質がある。また、遷移金属化合物の量子スピン系磁性体においても1K以下の極低温で興味ある磁性を示すものも見つかっている。これらの物質の基底状態、励起状態を系統的に研究するためには1K以下の超低温強磁場下の極限条件において磁気状態の精密な観測が必要不可欠である。 我々は超低温強磁場でも磁化測定が行えるファラデー法を利用したキャパシタンス磁化測定法を開発した。昨年度はこの装置の開発を行ない、ウラン化合物超伝導体であるUPd_2Al_3の磁化測定を行なったところ、18Tでメタ磁性に伴う鋭い磁化のとびが観測された。今年度は最低温度40mKから10Kまでの磁化の磁場依存性を詳細に観測した。磁場変化によるうず電流の発生による温度上昇をなくすために、磁場掃引速度は毎分0.0015Tという極めてゆっくりした速度で磁場を変化させた。その結果、40mKではメタ磁性転移による磁気履歴が0.02Tであったが、4.2Kではほとんど磁気履歴がなくなり、それより高温では磁気履歴がなかった。2K以下の超低温では明確な磁気履歴を示す1次転移であるが、6K以上では2次転移であることが結論された。10K以上の高温では装置の熱膨張のためにこの方法では正確な磁化を測定しにくいために、東北大学極低温科学センターのVSMを使ってゼロ磁場でのネール温度14.3K付近にあたる10K〜20Kの温度範囲での磁化の温度依存性を測定した。12T以下の磁場で測定したところ、いずれの磁場でも14K付近で折れ曲がりを示した。この異常は磁場が強くなるにつれて明瞭になった。磁化の温度変化に跳びはなく、磁気履歴も示さないので2次転移である。転移温度は磁場が強くなるにつれて低温になるが、12Tにおいても13.9Kと、僅かしか転移温度は低下しなかった。通常の反強磁性体では常磁性-反強磁性転移温度は磁場が強くなるにつれてどんどん低下するが、これとは異なる結果となった。
|