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2001 年度 実績報告書

2次元系Ca_<2-×>Sr_×RuO_4のモット転移近傍における異常スピン揺動

研究課題

研究課題/領域番号 12640340
研究機関東京大学

研究代表者

吉沢 英樹  東京大学, 物性研究所, 助教授 (00174912)

キーワードRu酸化物 / 2次元超伝導体 / 中性子散乱
研究概要

高温超伝導銅酸化物と同型の結晶構造を有し銅イオンを含まない超伝導体であるSr_2RuO_4のスピン遥動を中性子散乱実験で研究するために、単結晶試料を作成しスピン揺動の非弾性散乱スペクトルを測定した。中性子非弾性散乱実験用の大型単結晶試料を我々で育成し、その単結晶試料を用いて日本原子力研究所改造3号炉に設置されている物性研究所の3軸型中性子分光器で非弾性散乱プロファイルを測定した。比較的エネルギーの低い1.3meV, 2.5meV, 3.5meVについて、常磁性相の10KとほぼT_cに等しい1.4Kにおいて動的構造因子のQプロファイルの温度変化を比較した。するとS(Q,ω)のままで、すでに低エネルギーサイドで急激に散乱強度が減少していることが顕著に見て取れる。Sr_2RuO_4のスペクトルはほとんど一定なQ幅を示し、Q積分したスペクトル密度のエネルギー依存性のみが系のスピン応答の特徴を与えている。このような動的構造因子の振舞いは多くの異常金属相において観測されている共通な特徴である。そこでエネルギー依存性の特徴を明らかにするために各スキャンをQについて積分し温度因子も落として帯磁率の虚部χ"(ω)になおすことにより、約25mcVまでのエネルギー範囲で動的帯磁率のエネルギー・温度依存性をみてみた。動的帯磁率は100Kから10Kまでの間で大きくプロファイルが変化し、温度の低下とともにスペクトル密度は低エネルギーサイドに集中してくる。観測された動的帯磁率を定量化するためにローレンツ関数にフィットしてその積分強度とエネルギー幅の温度依存性を求めた。その結果Sr_2RuO_4のスピン揺動は、エネルギー幅Γの温度依存性として温度に対して線形に変化しており、Γ(T)=Γ_o+a・k_BTであたえられることが見いだされた。ここにΓ_o=8mcV、a〜1.0である。もしΓ_oがゼロであればこの系のスピン揺らぎは擬フェルミ液体的なΓ(T)=k_BTとなるが、この系は非常に大きなΓ_oの値を示し、この大きなΓ_oはこの系のスピン揺らぎの特異性を表している。

  • 研究成果

    (6件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (6件)

  • [文献書誌] M.Kubota: "Relation Between crystal and magnetic structures of layered manganite La_<2-2x>Sr_<j+2x>Mn_2O_7(0.30x0.50)"J. Phys. Soc. Jpn.. 69. 1606-1609 (2000)

  • [文献書誌] M.Kubota: "Influence of Quasi-Bi-Stripe Charge Order on Resistively and Magnetism in the Bilayer La_<2-2x>Sr_<1+2x>Mn_2O_7"J. Phys. Soc. Jpn.. 69. 1986-1989 (2000)

  • [文献書誌] H.Takagiwa: "Coexistence of Superconductivity and (Anti-)Ferromangetism in RuSr_2YCu_2O_8"J. Phys. Soc. Jpn.. 70. 333-336 (2001)

  • [文献書誌] Y.Taguchi: "Spin Chirality, Berry Phase, and Anomalous Hall Effect in a Frustrated Ferromagnet"Science. 291. 2573-2576 (2001)

  • [文献書誌] R.Kajimoto: "Commensurate-incommensurate transition in the melting process of orbital ordering in Pr_<0.5>Ca_<0.5>MnO_3 : A neutron diffraction study"Phys. Rev. B. 63. 212407(1)-212407(4) (2001)

  • [文献書誌] T.Kimura: "Charge-orbital ordering and ferromagnetic chains in single-layered magnetite crystals"Phys. Rev. B. 65. 020407(1)-020407(4) (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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