研究概要 |
今年度は次の成果があった。 1.重い電子系の超伝導のミクロな機構が説明できたことである。我々の方法は3次の摂動計算で得られた準粒子間相互作用を用いてEliashberg方程式を立て、転移温度の近傍で線形化した固有値方程式を解いてTcを求めるものである。この方法によって、重い電子系の超伝導体であるUPd2A13,UNi2A13,CeCoIn3,CeIrIn5,CeRhIn5,CeIn3の超伝導状態のギャプの対称性とTcの変化が求められた。これらの結果はよく実験結果を再現し、我々の考え方が正しいことを確信した。 我々の考え方というのは次の考え方である。(1)大きい重い電子を持つ2次元的なフェルミ面が、超伝導を導く上で重要な役割を果たすこと。(2)3次元系では転移温度が1桁低くなる。(3)スピン3重項のP-波の状態も自動的に導かれ、UNi2A13の超伝導が説明できる。この時、六方晶形でフラストレーションによって反強磁性が起こりにくいことが重要である。 2.Sr2Ru04の超伝導機構が3バンドを考えても変わらないことが示された。その結果、相互作用の運動量依存性が相関の強い電子系の超伝導機構として本質的に大事であることが示されたことである。P-波の場合はUの3次の項が相互作用の運動量依存性を支配し、γ面の超伝導を導くことが明らかになった。
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