昨年度行った実験、解析からこの系はT=0K(絶対零度)に量子Griffith相が存在し、x=0.5およびx=0.6で観測された帯磁率のスケーリングは、この相への相転移として解釈できることを示した。つまりこの系の非フェルミ液体状態はdisorderと強い量子揺らぎによって出現した量子Griiffith相への相転移にともなう臨界現象と考えることが出来る。このことをさらに明確にするためx=0.4の試料について圧力下の実験を金属材料技術研究所(現物質・材料研究機構)の松下グループに依頼した。その結果比熱は圧力により非フェルミ液体的振る舞いからフェルミ液体的振る舞いへ移り変わり、磁場中帯磁率と同様にスケーリング則が成り立つことが判明した。現在この結果を論文にまとめている。(結果の一部は投稿、受理済み)また我々の実験結果に興味を持ったアメリカ、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のMcLaughlin教授の要請でμSRの測定も行った。(現在Physical Review誌に投稿中)さらに代表的非フェルミ液体物質と考えられているCeRu_<5.9>AU_<0.1>の試料の測定を行い現在解析中である。この物質の測定結果と我々が主に測定を行ってきたCe(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2の結果を比較することにより、Ce系化合物で観測されている非フェルミ液体の起源が同一のものか否かが解明される。
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