研究概要 |
本課題では申請時の計画に沿い (1)Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2の単結晶をx=0.4,0.5,0.6について作成した。 (2)希釈冷凍機温度領域での交流帯磁率測定装置を製作し、直流磁場下での交流帯磁率の測定を行えるようにした。現在50mK〜4.2Kの温度範囲で、0〜6T直流磁場下での測定が可能となった。 直流磁場下の交流帯磁率_X(T, H)の測定から、x=0.5, 0.6の試料では、極低温(T<1K)弱磁場下(H<0.1T)で、_X(T, H)=T^<-γ>f(H/T^δ)の形でスケールできることが分かった。しかしx=0.5とx=0.6でスケーリング指数γ, δの値が異なり、その原因は現在検討中である。しかしながら、過去に行った電気抵抗測定のデータと合わせて考えると、非フェルミ液体の出現機構を以下のように推測することが出来る。 本研究で測定を行っているCe(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2はCeの基底状態は2重項でスピンはイジング性が強い。このことは単結晶の各軸方向の帯磁率、磁化測定から確認されている。またこの系はxの変化に対して近藤温度の変化が小さく我々が実験を行っているx=0.4,0.5,0.6の中間Rh濃度領域でも20K程度であると考えられている。最後にRh置換によるdisorderの効果が存在する。これらの特徴と今回我々が行った測定結果から、Ce(Ru_<1-x>Rh_x)_2Si_2 x=0.5,0.6ではT=0Kに向かっての何らかの相転移が起こっており、この相は強い量子揺らぎを伴ったdisorder相(Griffith相)ではないかと考えている。つまりこの系の非フェルミ液体状態はdisorderと強い量子揺らぎによって出現した量子グリフィス相への相転移にともなう臨界現象と考えることが出来る。
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