研究課題/領域番号 |
12640358
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研究機関 | 姫路工業大学 |
研究代表者 |
小原 孝夫 姫路工業大学, 理学部, 教授 (70107986)
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研究分担者 |
岩本 雄二 姫路工業大学, 理学部, 助手 (80244680)
上田 光一 姫路工業大学, 理学部, 助手 (20203440)
小堀 洋 姫路工業大学, 理学部, 助教授 (10153660)
松田 和之 姫路工業大学, 理学部, 学振・特別研究員
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キーワード | 圧力誘起超伝導体 / 核磁気共鳴 / 核四重極共鳴 / d波超伝導 / スピン揺らぎ / f電子系化合物 / 重い電子系 / 低温高圧物性 |
研究概要 |
典型的な圧力誘起超伝導体CeIn3については、超伝導臨界圧が高く、転移温度が低いので、十分低温でないと超伝導エネルギーギャップの議論が出来ず、In NMR/NQR測定からは高圧印加による超伝導発現を検知しただけで、非s波超伝導の十分な検証が出来なかった。一方、近年報告のあったやはり圧力誘起超伝導体のCeRhIn5や重い電子系超伝導体であるCeIrIn5,CeCoIn5では、常圧下ならびに高圧下でInNQR, CoNMRの測定が出来、これらの物質の常伝導領域では、反強磁性スピンゆらぎが磁気緩和に支配的で、とくにCeCoIn5では、常圧で系は反強磁性不安定(臨界)状態にあることが核磁気緩和率の温度変化で明らかになった。一方、超伝導状態では、超伝導エネルギーギャップに線上のnodeができており、スピン帯磁率が超伝導転移温度以下で温度の低下とともに減少するので,これらの系ではd波超伝導が実現していることがわかった。他方の本研究課題の対象物質である「圧力による微弱磁気モーメントの増大」を観測するために、URu2Si2の高圧下で29Si NMRをこころみ、低温で反強磁性に秩序化したUからの内部磁場を受けた(反強磁性領域)にあるSi NMRの観測に始めて成功した。中性子回折で報告されていた「非常に微弱なUの磁気モーメント」は、本研究での新事実の発見により、「普通の大きさをもつUの磁気モーメント」をもつ領域が常圧では極めて小さく(約数%)、圧力印加とともに領域が増加するという全く新しい興味ある知見が得られた。この結果は、この物質の磁性と超伝導の新奇性を理解するための研究者の描像を大きく変え、論文出版や国際会議での発表後、多くの理論・実験グループからの問い合わせ、反響が非常に多かった。
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