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2000 年度 実績報告書

ランダムスピン系におけるガラス的なダイナミクス

研究課題

研究課題/領域番号 12640367
研究機関東京大学

研究代表者

高山 一  東京大学, 物性研究所, 教授 (40091475)

研究分担者 藤堂 眞治  東京大学, 物性研究所, 助手 (10291337)
福島 孝治  東京大学, 物性研究所, 助手 (80282606)
キーワードスピングラス / エイジング現象 / ゼロ磁場冷却磁化 / メモリー効果 / 温度シフト過程 / 磁場シフト過程 / 熱活性化過程 / モンテカルロ法
研究概要

これまで我々は、短距離相互作用型(EA)のイジングスピングラス模型におけるエイジング現象を様々な側面からモンテカルロ法によるシミュレーションで解析し、同現象が、系を急冷した後にスピングラス秩序が熱活性化過程によって成長していくという描像がよく当てはまることを示し、特に、急冷後時間tを経た時に観測される諸物理量が、その時点までに成長したスピングラス秩序の相関長L(t)を用いたスケーリング表式でよく記述されることを明らかにしてきた。本年度の大きな研究成果は、理論模型に対するシミュレーションから導かれた以上の描像が、現実のスピングラス物質におけるエイジング現象を、そのある側面は定量的にも、説明することを示したことにある。
スピングラスをゼロ磁場下で転移温度以下まで急冷してから磁場を加え、徐々に温度を上げながら誘起される磁化を測定する(ゼロ磁場冷却磁化)。シミュレーションから、温度変化があっても相関長L(t)は累加的に成長すること(メモリー効果)を見出し、その成長則を導いた。時間スケールが10桁以上異なる実験結果にこれを適用して、温度変化の異なる過程ごとにL(t)を算出し、各過程で誘起される磁化をそれぞれのL(t)に対レてプロットしたところ、すべてのデータが一つのユニバーザル関数に載ることを検証した。
このようなシミュレーションと実験との直接的な一致はエイジング現匁の研究においては初めてのものである。現在、温度シフトや磁場シフトなど様々な実験手法で観測されている結果も、上記の描像で統一的に理解できるものと考え、フランスSaclayグループやスウェーデンUppsalaグループなどとの共同研究を進めている。

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] T.Komori: "Numerical Study on Aging Dynamics in the 3D Ising Spin-Glass Model.II.Quasi-Equilibrium Regime of Spin Auto-Correlation Function"J.Phys.Soc.Jpn.. 69. 1192-1201 (2000)

  • [文献書誌] K.Hukushima: "Numerical Study of Aging Phenomena in Short-Ranged Spin Glasses"Prog.Theor.Phys.Suppl.. 138. 568-573 (2000)

  • [文献書誌] T.Komori: "Numerical Study on Aging Dynamics in Ising Spin-Glass Models : Temperature-Change Protocols"J.Phys.Soc.Jpn.Suppl.. 69A. 228-237 (2000)

  • [文献書誌] H.Takayama: "Numerical Study on Aging Phenomena in Spin Glasses : Temperature-Shift Protocol"RIKEN REVIEW. 27. 25-28 (2000)

  • [文献書誌] L.W.Bernardi: "Aging of the Zero-Field-Cooled Magnetization in Ising Sping Glasses : Experiment and Numerical Simulation"Phys.Rev.Lett.. 86. 720-723 (2001)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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