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2000 年度 実績報告書

級数展開によるスピン統計系の相転移の研究

研究課題

研究課題/領域番号 12640382
研究機関大阪府立工業高等専門学校

研究代表者

有末 宏明  大阪府立工業高等専門学校, 一般教養科, 教授 (10175987)

キーワードイジング模型 / 高温展開 / 有限格子法 / 自由エネルギー / 比熱 / 臨界指数
研究概要

スピン統計系の高温展開・低温展開において有限格子法は強力でしかも計算機に適した方法である.この方法では,無限系(熱力学的極限)の自由エネルギーは,展開次数で決まる一定サイズ以下のすべての有限サイズ格子の自由エネルギーの展開を使ってそれらの線形結合で与えられる.したがって問題はそのような有限サイズ格子での分配関数の正確な計算に置き換えられる.この方法は、2次元スピン系では他のダイアグラムによる展開方法と比べて圧倒的に有利であるが,3次元スピン系では従来,ダイアグラムによる展開方法とほとんど同じ次数までしか計算できていなかった.これは有限サイズ格子での分配関数の計算において,すべてのスピン配位を勘定していたためである.平成12年度において有末は北里大学の藤原俊朗氏と共同で,有限格子法の新しいアルゴリズムを開発した.この研究の中で両者は,従来勘定されていた配位の大部分が実は相殺して落ちてしまい,最終的な自由エネルギーの展開係数に効くのは極めて小数の配位に限られることを見出し,その様な小数の配位だけから計算した分配関数を使って正確な展開を得る方法を発見した.
この方法は一般の3次元スピン系の高温展開・低温展開の展開次数を従来のものから2倍以上の次数にまで拡張することを可能にする.実際有末と藤原は,この新しいアルゴリズムを用いて3次元イジング模型の自由エネルギー(およびその微分から得られる比熱)の高温展開を計算し,従来の24次までの展開を44次にまで拡張した.得られた比熱の展開級数から,2次相転移点における比熱の臨界指数について従来より1桁以上精度の高い値(誤差1%)を得た.(論文執筆中)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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