研究概要 |
本研究では,波長12μmで発振するアンモニア(^<15>NH_3)レーザーと波長10μmで発振する炭酸ガスレーザーの光をMIM(Metal-Insulator-Metal)ダイオードで混合し,6THz以上の周波数を持つテラヘルツ電磁波(遠赤外光)を発生させ,これを光源とした高分解能分子分光システムを構築する.今年度は,差周波をとるための炭酸ガスレーザーを構成するレーザーフレーム,レーザー管の設計・製作,およびそれらの組立を行った.測定される分子スペクトルの遷移周波数の精度を保証するために,購入したInSb検出器で炭酸ガスの蛍光をモニターし,製作する炭酸ガスレーザーの周波数を安定化する必要がある.このために必要なフィードバック回路の設計・製作を行った.新規に購入したPZT駆動用の直流安定化高圧電源を用いて,レーザー周波数の安定化に向けた予備的実験を行った. 今後は,まず,新たに製作した炭酸ガスレーザの周波数安定化を完成させ,アンモニア(^<15>NH_3)レーザーと炭酸ガスレーザーの光混合実験に着手する.これにより,2本の炭酸ガスレーザーの差周波を利用したTuFIR分光計では不可能な,6THz以上の差周波発生を試みる。最終的には,発生させた差周波を利用して周波数精度が高くしかも高分解能の分子スペクトルを,6THz以上の周波数領域で測定できる分光計を完成させることを目標とする.
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