研究概要 |
本研究の成果は以下のとおりである.(1)周期分極KTP結晶を用いた第2高調波の発生実験で,40%を超える変換効率を達成.(2)フェムト秒Ti:サファイアレーザーとBBOを用いてパラメトリック利得の測定を行ない,10%の利得を確認した.(3)周期分極反転した非線型デバイスを用いて,パラメトリック利得の大きさとしては11倍,スクイージングの大きさとしては-3.2dBという値を実現することができた.これらの値は,我々の知る限りにおいてモード同期レーザーを用いた実験としては世界最高の値である.(4)GRINレンズを用いる光学系により周期分極反転ニオブ酸リチウム導波路デバイスへの良好なカップリングを実現し,第2高調波の発生を確認した.(5)市販の増幅器をベースにした量子テレポーテーションのためのパルス光用ホモダイン検出器を製作した.(6)ホモダイン検出を用いる量子暗号の研究では,長さ1kmのファイバーを用いた実験や安全性についての理論的な評価を行った.理論面では盗聴者がビームスプリッティングのあとにPOVM測定を行う場合の安全な鍵の生成率を評価し,任意の距離において安全な鍵を送信しうることを強く示唆する結果が得られた.実験面では1kmのファイバーを使った鍵配送実験を行い,伝送路の損失や検出器の雑音といった理想的な状況からのずれの影響が直交位相振幅の分布関数の幅と中心値の変化に現れ,分布の形はガウス関数のまま保たれることを示すことができた.これは現実的な状況下でも,任意の距離で安全な鍵を配送できるということを示唆する結果である.
|