1.「漸進的モデル改良法」の改良 これまでの方法では、初動走時しか扱えていないのでまず反射波や後続波の走時を取りこめるように改良を行った。地震波のphaseの(人間による)同定は必要ないようにするために、モデルへの取りこみ方を工夫した。具体的には、まず初動走時のみで2次元構造を求め、それを用いて反射波・後続波のphaseの同定を自動的に行う。この際、反射波・後続波と思われるphaseはそれぞれグループに分けて(このグループ分けは人間が目で行う)、グループごとにphaseの同定を最小2乗法を用いて自動的に行う。この方法では、人間が関与するところはphaseのグループ分けだけであり、今までの他の方法のようにphaseの(人間による)同定を必要としない。またグループとしてphaseを同定するため、走時1つ1つについて行うより同定の信頼性が上がると考えられる。この方法を用いて構造解析のシミュレーションを行った結果、反射波を用いた解析では、今まで悪かった層下面の速度の解像度が非常に改善されることが示された。 また、「漸進的モデル改良法」の有効性を調べるため、これまでforward modeling等で解析されたデータを再解析することも行った。学部4年生に解析を行わせた結果、我々の方法は経験の少ない者でも簡単に短時間で解析ができ、結果の客観的評価もできることが示された。 2.観測データの取得 上記の方法の有効性を示すための観測データを取得するため、人工地震構造調査に参加した。観測は、東大海洋研の淡青丸航海(KT-00-14)「日本海・山陰沖の地震学的構造の研究」と東大地震研の用船「特定共同研究(A)」(三陸沖)で行った。これらの観測では海底地震計とエアガンを用いてデータの取得を行った。
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