本年度は、流体移動の動的移動の効果を本格的にシミュレーションにより考察する前段階として比較のため準静的な場合について各種モデルパラメタ依存性を詳しく考察した。これによると、水力学的パラメタが変化することにより、前震-本震-余震型地震と群発型地震の違いが生じることがわかった。すなわち、すべりにより空隙率の塑性成分が大きく増大するようであれば、群発型となる。これは新しく生成した空隙が流体を吸い込むことによる。余震のシミュレーションにおいては流体の移動を考えることにより、様々な観測事実を統一的に説明することができた。すなわち、 (1)余震活動が時間と共に減衰すること、 (2)大規模な余震ほど、余震系列の早期に発生する傾向があるということ、 (3)余震減衰についての大森公式、 (4)余震の規模別頻度分布についてのGutenberg-Richter公式、 (5)大規模な余震は余震域の端で発生する傾向にあること、 (6)余震域は時間と共に、拡大していく傾向にあるということなどである。 なお、大森公式のp値、Gutenberg-Richter公式のb値などについての定量的一致も良いということもわかった。Gutenberg-Richter公式は、繰り返しすべりにより生ずることも解明された。 大規模な余震は、場合により二次余震を伴うことがある。このような二次余震は、断層帯の透水係数がきわめて小さい場合、複数の高圧流体源がある場合に発生しやすいということもわかった。それぞれの二次余震は大森公式やGutenberg-Richter公式をみたす。
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