地震の放射エネルギーと地震の規模との関係について研究した。放射エネルギーについては最近研究が始まったばかりで、以前の研究に信頼できるものはほとんどない。新しくK-Netなどができたことで可能になった研究であり、地震のエネルギーについて新しい結果を得ることができた。研究は主に次の3つから成っている。 1.日本の浅発地震(0〜50km)と中規模地震(M4〜6)のエネルギーの計算。115の地震について分析した。正確なものにするため、K-Netの数百カ所についてサイト・コレクションを行った。その結果、エネルギーはほぼモメントに比例することが明らかになった。しかし、マグニチュードの幅が限られているので、このデータだけからとくに顕著な傾向を見ることはむずかしい。この結果はカリフォルニアの浅発地震の場合とよく似ている。 2.浅発地震と深発地震のエネルギーの比較。北海道と東北の浅発地震32、深発地震37について分析した。正確を期すために、このデータ・セットについてもサイト・コレクションと平均減衰を行った。結果として、浅発地震は、地震の規模が大きくなるに連れ、エネルギーとモメントの比が増すことが明らかになった。一方、深発地震は、地震の規模によらず、エネルギーとモメントの比は一定である。 3.カリフォルニア州ノースリツジ地震(1994年)の余震についての詳細な研究。この研究によって、カリフォルニアの浅発地震については、地震の規模が大きくなるにつれ、エネルギーとモメントの比も増加することが明らかになった。
|