研究課題
地球の上部マントルにおいて単斜輝石は、斜方輝石、柘榴石とともに、かんらん石の次に重要な鉱物である。この単斜輝石のうちで、MgCaSi_2O_6組成をもつ透輝石(diopside)単結晶の弾性定数を直方体共振法で決定した。これは従来Aleksandrov et al. (1963)、Levin et al. (1979)の弾性定数を出発値として使っては、理論スペクトルと測定スペクトルのくい違いが大きく、モードの同定ができなかった試料である。今回Collins and Brown (1998)の弾性定数に基づいてはじめて63本もの測定ピークのモードを同定することができ、弾性定数の決定に至ったものである。このことはまた、Aleksandrov et al. (1963)、Levin et al. (1979)の弾性定数の信頼性に疑問が生じたことを意味する。またこれとは別に、カリフォルニア大学ロサンゼルス校のD.G. Isaakとの共同研究として、クロムを含む単斜輝石単結晶の弾性定数をも直方体共振法で決定した。62本のピークが同定され、ピークの周波数の測定値と理論値の一致もとても良く、十分に信頼できる結果である。これらの成果は、共振法による弾性定数決定法の単斜晶系結晶への最初の適用例である。今後これらの試料を高温下で測定し、弾性定数の温度変化データを得る予定である。
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