研究課題
共振法では、液圧下の場合を除けば、測定される共振周波数は計算上の自由振動の固有周波数と対応づけられ、弾性定数が決められる。しかし実際の測定では試料は振動子の間に保持され、完全には自由振動でない。そこで天秤で試料の保持力(荷重)を変化させ、荷重→0に外挿して自由振動の周波数を求めている。しかしこの外挿に理論式がなく、とくに測定のできない荷重【approximately equal】0付近で周波数が急激に減少する懸念があった。研究分担者のYoneda(2002)は、保持力(荷重)Fによる球試料-振動子系のバネ定数の変化を理論的に見積もり、f^2-f^2_0∝F^n ;_0S_0モードでn=1/3、トーショナル・モードでn=2/3、という式を提出した。この式は、荷重【approximately equal】0付近でも周波数がそれほど急激には変化しないことを保証し、荷重→0の外挿に使うべき式を与えた。これは共振法における懸案の一つを明快に解決したもので、地味ながら有意義な成果である。研究代表者は透輝石MgCaSi_2O_6単結晶の直方体試料の共振ピークを測定し、63のモードを同定し、独立な13の弾性定数を決定した。この際上記の理論式を用い、べき指数nもパラメータとして決めた。その結果、63個のべき指数nの大部分が1/3から2/3の範囲に求まること、純トーショナルに近いモードでは2/3近くに、純ディラテイショナルと思われるモードではより1/3寄りに求まることがわかった。これによりYoneda (2002) の式の妥当性が検証され、球試料のみならず直方体試料へも適用しうることが明らかになった。
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