研究概要 |
今年度はまず衛星からの黄砂量推定手法のベースとなる黄砂光学特性のモデル化を行った。ソウル大・Sohn教授より1998年春の黄砂発生時の韓国Anmyon-doにおけるsky-radiometerの観測結果を入手し、それに基づいたモデルを作成した。このモデルを用いた放射伝達シミュレーションを行い、同時期のSeaWiFS衛星データと比べることによりモデルパラメータの調整を行った。443mm帯に比して特に412mm帯での黄砂の吸収係数を大きくとる必要のあることが分かった点は大きな成果である。次に1998年春の黄砂イベント発生時のSeaWiFSデータを用い、中国沿岸〜北太平洋〜北米西岸域(海域のみ)を対象とした1日ごとの黄砂エアロソル指数画像を作成した。また、陸域を対象とした黄砂エアロソル検出法については、予備的な「陸域黄砂エアロソル指数」の算出式を定義し、1998年春の10日間分のSeaWiFSデータより当該期間の1日ごとの黄砂分布画像を作成した。作成した海域黄砂エアロソル指数(Ocean dust veil index,ODVIと略称)および陸域黄砂エアロソル指数(Land dust veil index,LDVIと略称)の分布画像をTOMS/Aerosol Indexおよび鵜野によるダスト輸送シミュレーション結果と比較し、次のような結果を得た。 1.ODVIはTOMS AIよりも低濃度の黄砂エアロソルの検出に適している。但し、エアロソル・雲の反射率の低い所(10%以下)でのみ有効である。 2.LDVIは陸域上はもちろん、海域上でも有効である。また、エアロソル反射率が20%程度以下であれば適用できる。さらにTOMS AIよりも輸送シミュレーション結果との相関が高い。但し陸域では地表被覆によっては相関が極めて悪化する。 これらの成果については、各所で研究発表を行った他、今年度の本研究で得られた成果の応用として、平成12年12月に行われたAPEXエアロソル観測実験(研究代表:東大・中島映至教授)に参加し、ホームページ上で日々の黄砂分布画像を準リアルタイムで公開した。
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