研究課題/領域番号 |
12640431
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
長井 嗣信 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 教授 (60260527)
|
研究分担者 |
藤本 正樹 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (30242811)
|
キーワード | 磁気圏 / サブストーム / 沿磁力線電流 / MHD / ホール効果 / 磁気圏尾部 / 磁気圏電離圏結合 / リコネクション |
研究概要 |
研究実績の概要 地球半径の9-20倍の磁気圏尾部で、静止軌道衛星GOES8かGOES10においてサブストームにともなう沿磁力線電流による磁場の変動が観測される場合に、どのような磁場変動が起きているかについて、Geotail衛星の1998-2000年のデータを用いて、58例について解析を行った。静止軌道より遠い磁気圏尾部においても、静止軌道と同様に磁場構造が引き伸ばされた構造から元に戻る過程で沿磁力線電流による磁場変動が観測され、推定される電流の方向は、朝側で地球向き、夕方側で地球から出る向きであることを確認した。さらに同時のプラズマのデータの解析により、沿磁力線電流はプラズマシートと磁気圏尾部ローブとの境界近くに分布することを確認した。このことにより、沿磁力線電流の基本的な駆動機構としては、磁気リコネクションと考えてよいことがわかった。そこで、磁気圏尾部リコネクションに伴って発展する沿磁力線電流系をMHDおよびHall-MHD系において数値計算を行った。その結果、ホール効果によって新たにリコネクション領域近傍で朝夕方向への磁力線のひねりが生じ、新しい電流系が真夜中付近の高緯度に現れるはずである、という理論的予想に達した。このホール電流系は地球向き・反地球向きの極性をもつ電流のペアが緯度方向に並んだ構造をしていて、ともに集中した強い電流密度によって担われており、磁気圏-電離圏結合において重要である可能性が高い。このことをGeotail衛星データを用いて検証したところ、高緯度側の地球向き電流層が同定され、電離圏から反地球向きに強く加速された電子ビームによって運ばれていることがわかった。さらにリコネクションを起こす電流層の厚さを変化させて数値実験を行い、地球磁気圏のように厚さがイオン慣性長と同程度に薄い場合はもちろん、より厚い場合でも系が十分に二次元的であれば、ホール効果による電流が卓越することを発見した。
|