人工衛星GeotailとGOES8及びGOES10の同時観測の得られるサブストームについて、磁場の変動を中心にさらに例を増やし解析を進めた。いつも磁気圏尾部における磁場構造変化に伴う変動の開始のほうが、静止軌道での磁場構造変化に伴う変動の開始より、1-10分早く観測されることが、確認できる。静止軌道での沿磁力線電流に伴う変動は、磁気圏尾部における磁場構造変化に伴う変動の開始とほぼ同時期に始まることがあり、沿磁力線電流の源が、より遠い磁気圏尾部にあることを裏付けていることになる。いっぽう、磁気圏尾部の赤道面近くでは、サブストーム開始時間の10-30分程度前から、数分の不規則な時間変動をもつ磁場変動が観測されることがわかり、何らかのプラズマ不安定が働いている可能性があることがわかったが、どのようなメカニズムであるか不明であり、今後の検討課題となった。また、これがいわゆる磁気圏尾部電流系の切断現象と、どのような関係があるかが、新たな検討課題となった。数値実験では、磁気圏尾部の磁場構造を取り入れた設定での3次元の磁気リコネクションの実験を開始した。イオンを粒子とし、電子を流体と扱い、ホール効果を取り入れた系においては、現実的な北向き磁場を入れることにより、充分に強い沿磁力線電流系が発生することを確認した。さらに、この強い沿磁力線電流の発達過程を、磁気リコネクションにより形成されるイオンのジェットの発達過程との関係について詳細な解析を行うことができた。それにより、イオンのジェットの先端は、強い沿磁力線電流の先端より早く地球に到達する可能性があることがわかった。
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