今年度はストーム堆積物を特徴づけるハンモック状斜交層理の波長のサイズ分布の特徴と過去3億年間での波長の時間的変化の特徴を検討した。その結果、厚いストーム堆積物ほど波長の大きいハンモック状斜交層理で特徴づけられること、より沖合で形成されたストーム堆積物ほど波長の小さいハンモック状斜交層理で特徴づけられることが明らかとなり、ハンモック状斜交層理の波長の大きさがストームの規模を反映していることが明らかとなった。さらに、白亜紀中期の温室期で形成されたストーム堆積物は最も大きな波長を示すハンモック状斜交層理で特徴づけられることが明らかとなり、堆積学的データから、温室期ほどストームの規模が大きかったことが明らかになり、将来の地球温暖化にともない、ストームの規模が大きくなる可能性が考えられる。 さらに今年度は、およそ70万年前の陸棚域で黒潮に強く影響されて形成されたサンドリッジ堆積物ならびに陸棚堆積物を検討した結果、これらの堆積物に1000年、100年、ならびに10年〜数年程度の堆積サイクルが認められた。このうち、特に1000年オーダーのサイクルが認められたことは、過去20万年間の気候変動として広く認められるようになった1000年オーダーのサイクルが中期更新世初期にさかのぼり広く地球環境の変動を支配していたことや、最近明らかとなってきている1000年オーダーのエルニーニョ現象にともなって、黒潮の大蛇行が発生していた可能性が明らかとなってきた。
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