日本列島において、広域テフラによる中新統〜下部更新統の精密対比を行うために、野外調査と室内における検討を行った。本年度はテフラ鍵層を数多く狭在する新潟地域と、千葉県房総半島および富山県氷見地域を重点的に検討した。それらの結果、新潟地域では鮮新統〜下部更新統中の数多くのテフラ鍵層が、魚沼・東頸域丘陵から三条市周辺〜新津丘陵地域にまで拡がっており、良好な時間示標層となることを確認した。とくにSKO85火山灰層は今まで知られていない鍵層テフラであり、その層相・分布を新たに確認した。また平層中のTugm(三条市月岡)、HD20(五泉市橋田)などは房総半島上統層群黄和田層中のKd18に対比されることを明らかにした。さらにJjj(出雲崎町常楽寺)、Omig(加茂市大皆川)などの鍵層は、同じく房総半島のKd8との広域対比を行うことができた。さらに中新世のテフラ層についても、火山カラスが新鮮に保持されている場合には、より新しい時代のテフラ層と同様の研究方法が通用できることを新潟地域の中心統内須川層と野村層中のテフラを例にして示し、両層中のテフラを対比することに成功した。
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