日本列島における中新統〜下部更新統には多数のテフラ層が挟在している。このようなテフラ層は火山噴火史を記録しているが、同時に精密な時間示標層として、地質学の精度と確度の向上に欠かせない。時間示標層としてのテフラ層研究は鮮新統〜下部更新統については、近年、研究の進展がみられるものの、解明すべき課題は多い。また中新統のテフラ層については、その研究はほとんど手つかずであった。 本研究においては、日本列島において、このような中新統〜下部更新統のテフラ層力が最もよくみられる新潟地域を中こにして、それらのテフラ層の詳細な記載を行うとともに、それらの広域対比を鋭意検討した。その結果、下部更新統のテフラ層については、魚沼層群をはじめとする新潟地域のテフラ層序を精緻なものにするとともに、それらと房総粍讃和田層のテフラ層などとの広域対比を行った。また鮮新統のテフラ層序についても、中央・西山油帯を模式として新潟地域において基本的なテフラ層序を確立するとともに、それらと北陸地域などとの対比を行った。さらに、中新統のテフラ層の対比についても、新潟地域で複数の広域テフラ層を見出した。これらの成果は、今後のテフラ研究の展開の基礎を築くとともに、微化石層序や年代論などとも複合して、地質学や環境史研究におおいに寄与しうるものと考えている。
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