研究概要 |
カザフ共和国のコクチェタフ超高圧-高圧変成帯では石英の高圧相であるコース石だけでなくダイヤモンドまでもが最高変成部に広域的に出現し,最高変成温度は1000℃以上にも達したことが知られている。それらの超高圧変成岩は著しい後退作用を被っているが,その原因として超高圧変成岩が上昇し地殻浅部に定置した際に周囲に熱変成作用を与えた結果,周囲の岩石から放出された流体相によるものであると考えられる。超高圧-高圧変成帯の上昇・定置によって周囲の地質体が被った接触変成作用の範囲,その結果放出された流体相の総量と組成の見積もり,さらに分離したジルコンのウラン-鉛年代値から超高圧変成作用の年代と地殻浅部に定置した際に周囲の地質体が被った接触変成作用の年代から,超高圧-高圧変成帯の上昇スピードを求めるのが本研究の目的である。 カザフ共和国コクチェタフ超高圧変成帯から採取した全試料のうち,超高圧-高圧変成帯の下盤側の地質体から採取した約1000個について岩石薄片の顕微鏡観察と鉱物分帯が完了していたが,本年度は鳴門教育大学自然系の電子プローブ・マイクロアナライザーで造岩鉱物を系統的に分析し,実測した固溶体鉱物組成を用いて変成アイソグラッドの変成反応式を明らかにした。また泥質岩起源の超高圧変成岩と接触変成作用を被った岩石からジルコンを大量に分離し,その中の鉱物包有物を東京工業大学理学部のレーザーラマン分光光度計によって同定した。
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